むやみに抜かない親知らず・抜歯
親知らずとは?
親知らずとは、大臼歯(永久歯の奥歯)の中で一番奥に生えてくる歯のことで、前歯から数えて8本目の歯を指します。歯科用語では「智歯(ちし)」と呼ばれ、10代後半から20代前半に生えてくることが多いですが、50代頃になってから生えてくることもあれば、一生生えてこない場合もあり、個人差があります。
親知らずは
抜歯しないと
いけないの?
こんな場合は親知らずは
抜歯しなくても大丈夫です
上下の歯がきちんと噛み合っている、虫歯・歯周病の症状がない、ブラッシングがしっかりできるなど、生え方や状態に問題がない場合は無理に抜歯する必要はありません。
ただし、一番奥に生えていることから汚れが溜まりやすい傾向にあるため、気を抜いてしまうと虫歯や歯周病にかかってしまいます。日ごろから丁寧な歯ブラシを心掛けるようにしましょう。
まっすぐ生えた親知らずは
移植にも役立ちます
歯を失ってしまった場合、インプラント・ブリッジ・入れ歯などの人工物で噛み合わせを修復する必要があります。しかし、親知らずの根っこの形態と失った歯の抜歯窩の相性が良好な場合は、自家歯牙移植が適用されることがあります。
自家歯牙移植(じかしがいしょく)とは、お口の中で機能していない歯(親知らずなど)を移植することで、噛み合わせの機能を取り戻す治療法です。いくつかの条件をクリアする必要がありますが、不要だと思っていた親知らずがいつか役に立つかもしれません。
親知らずの抜歯は
どんなときにするの?
親知らずが大きな虫歯で穴が開いていたり、歯ぐきが腫れて痛みが頻回に出るときや、前の歯を虫歯にするような生え方のときには抜歯が適応になります。
根っこの先が下顎の神経(下歯槽神経)と距離が近いため、事前にCT撮影をして当院で抜歯するか、口腔外科で抜歯するか、精査します。
親知らず抜歯の流れ
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FLOW1.
初診・ご相談
お困りの内容を細かくヒアリングします。親知らずの症状でお悩みの方は、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。
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FLOW2.
CT撮影・
診査・診断お口の中を拝見し、親知らずの生え方や歯茎の状態を確認します。レントゲン撮影に加えて、必要であればCT撮影を行います。状況によってはより設備の整った大学病院を紹介するケースもあります。
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FLOW3.
抜歯処置・
抜歯後の説明処置内容や抜歯後の注意事項をご説明します。歯の角度や深さなどによって、リスクの大きいケースがあります。十分な説明を行った上で、抜歯を行うかどうか一緒に検討していきましょう。
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FLOW4.
歯の清掃
抜歯する親知らずの周辺に汚れが溜まっていると、抜いた後の傷口から細菌感染を起こす可能性があります。周辺の歯を清掃し、抜歯ができる環境に整えます。
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FLOW5.
親知らずの抜歯
麻酔をしっかり効かせてから処置を開始するため、痛みの心配はありません。可能な限り低侵襲な処置を心掛けておりますので、ご安心ください。
親知らずの
抜歯後の注意点
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抜歯当日は安静に
抜歯した当日は、血流が良くなることを避けて安静に過ごしましょう。長風呂や運動、飲酒は血流を活発にするため、傷口から出血してくる可能性があります。
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抜歯した場所を指や舌で触らない
歯が抜けた部分が少し気になると思いますが、指や舌で触らないようにしましょう。また、歯磨きの際もブラシが当たると痛みや出血につながるため、注意が必要です。
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強いうがい・ゆすぎは控える
親知らずの
抜歯後の痛みや
腫れについて
抜歯そのものは局所麻酔下で行われるため痛みはありません。ただ術後には、個人差があるものの多少の痛みや腫れが伴う可能性があります。痛みのピークは当日から翌日で、次第に落ち着いてきます。骨を削除して抜歯した場合は、4~5日まで痛みが続くこともあります。腫れのピークは3~4日後で、次第に落ち着いてきます。抜歯後の注意事項をよく守って安静に過ごし、処方された薬をきちんと服用ください。
親知らず抜歯に関する
よくある質問
親知らずの抜歯はどれくらい時間がかかりますか?
一般的な処置の所要時間は30分~60分程度です。上の親知らずがまっすぐ生えている場合は、麻酔の時間も含めて15分で終わる場合もあります。
親知らずの抜歯でCT撮影をするのはなぜですか?
歯の根っこが下顎の神経に近い場合、痺れや麻痺といったリスクが伴います。当院では、親知らずの抜歯を行う前に、CTを含む精密検査で神経の位置を確認し、痺れや麻痺が残らないよう細心の注意を払っています。
妊娠中も抜歯できますか?
時期や症状によって異なります。
親知らずの抜歯は、妊娠中であっても安定期(妊娠16週~32週)になれば問題ありませんが、多少のストレスがかかります。念のため、出産後に落ち着いてから抜歯することをおすすめします。
抜歯する日はいつがいいですか?
痛みや腫れを想定し、大切な予定の1週間ほど前は避けましょう。
痛みや腫れがでた場合、おおよそ1週間は不便を感じてしまいます。また、抜いた日はお酒、激しい運動、湯船につかるといった血流のよくなる行為は避ける必要があります。
抜歯した傷口はどれくらいで塞がりますか?
個人差はありますが、歯茎は2週間ほど、骨は3~6ヶ月ほどかかります。
抜いた直後は穴が開いている状態なので、食事や歯磨きの際は注意が必要です。2週間ほどかけて徐々に歯茎が塞がり、その後3~6ヶ月ほどで顎の骨も治癒していきます。